プレゼンをしたはいいけど、どうも相手はしっくりきていない様子でした…
ありますよね、そういうとき。
説明を途中で遮られて、「その前に○○を知りたいんだけど」とか言われてしまったり、なぜか自分にだけ厳しいコメントが来たり…
私もこれまで何度も経験し、その度に凹んだことがあります。
いずれもよくあるパターンだと思いますが、いったい何が原因なのでしょうか?
それぞれの状況を振り返ってみると、実は一つの共通点がありました。
それは、自分とプレゼンの相手(聞き手)との認識がズレていたということ。
意図しているかいないかに関わらず、お互いの認識がズレていると、プレゼンの各コンテンツが「相手の聞きたいこと」と噛み合わなくなってしまいます。
ですが、逆にその認識が合ってさえいれば、プレゼン中のコンテンツが適正レベルに調整され、「刺さるストーリー」になるのです。
この記事では、プレゼンの準備をする前に確認しておきたい、「相手を知る」ためのコツをご紹介します。
”彼を知り、己を知れば百戦危うからず”
言わずと知れた孫子の言葉ですね
相手が知っていること、知りたいこと、考えていることが分かれば、それだけをしっかり押さえて伝えればOK。
無駄を省くことができ、プレゼンがもっと的確に、効果的になるでしょう。
その他にもプレゼンの質を上げる方法を多数紹介していますのでぜひご覧ください。
プレゼンの相手を想定する
プレゼンと一言で言っても、研究発表、テーマプレゼン、商品売り込み、投資判断、昇格試験など、様々な目的のプレゼンがあり、それぞれ内容の伝え方は異なります。
そして、「伝える相手」もそれぞれです。
例えば…
相手の事前知識量を知る
それぞれのシチュエーションに応じて、相手が持っている知識レベルは様々です。
例えば研究発表などでは、知識の深さは異なりますが、ほぼ全員、何らかの予備知識は持っていると考えて良いでしょう。
その場合は、あまりに基本的な知識や言葉の定義などについては、説明しすぎない方が良いと思います。
一方、テーマプレゼンのような場合は、聞き手が様々なバックグラウンドを持っているので、少し専門的な話をする際は、本当に基本的な部分から説明したほうが確実です。
理想は、「聞き手の大部分が知っている」ライン、もしくはそれより少し基本的な部分から話を始めること。
これが分かると、プレゼンの目次のなかの「背景」に入れる情報が決まります。
相手が知っていることは省き、知らないであろうことは理解してもらえるように丁寧に説明を加える…
という気遣いは聞き手にも伝わるので、しっかりと心がければ良い印象になると思います。
なお、完全に初めての相手など、知識レベルの予想が全くつかないというシチュエーションも稀にあると思います。
そうした場合はスライド中に広く知識をカバーする要点だけを示しておき、プレゼン中に聴衆に聞いてしまうのも手です。
コミュニケーションが取れるスタイルであれば、適切な情報量を探りながら行うことで、相手にとっても分かりやすく、自分の不安も解消されるはずです。
相手の知りたいことを知る
プレゼンをする際、相手が知りたいと思っていることは、自分が想像しているよりも多種多様です。
悲しいことに、自分が伝えたことと、相手が知りたいと思っていたことが、全く違った…ということも頻繁に起こります。
例えば、営業マンが新商品のプレゼンをしたけれど、顧客はその新商品よりも、既存類似商品のサポートサービスを望んでいた…という場合などです。
営業マンが「サポートも対応できます」とあらかじめ推測して言わない限り、顧客はサポートサービスがあることすら知らないかもしれないのです。
貴重な時間を割いて、親切にダメな原因を教えてくれる人は、そう多くありません。
多くの場合は、 ニーズが合わなければ音沙汰が無くなり、それっきりです。
連絡が途切れたら、ダメな原因が何だったかも分からないので、対策の立てようがありません。
そうならないためにも、相手が知りたいことを調査、想像し、ある程度の当たりをつけることが非常に重要です。
では、どのようにすれば相手が知りたいことが分かるのでしょうか?
1. 直接聞く
最もシンプルなのは、直接聞くこと。
例えば上記の営業マンの場合など、プレゼンの相手と連絡が取れる場合は本人に直接聞くのが一番です。
聞くことは、全く恥ではありませんよ!
真摯に向き合う姿勢で臨めば、まともな相手なら応えてくれるはずです。
ただし気を付けなくてはいけないのが、相手がそもそもこちらに興味がない場合。
無理に「時間をください」「教えてください」とプッシュばかりしていては、迷惑極まりない相手と思われてしまいます。
素直に聞けるチャンスはそう多くありません。
一度のチャンスである程度の感触をつかめるよう、漠然と「何を知りたいですか?」ではなく、「AとBとCがありますが、何に一番興味がありますか?」など、こちらが話そうと思っている内容を確認しましょう。
そのチャンスで、ある程度の当たりをつけられたら、しめたものです。
2. 関係者に周辺情報を聞く
相手本人にアクセスできない場合は、周囲の関係者に話を聞くだけでもいいです。
聞き手のプロファイル、背景、プレゼンに求められる内容、雰囲気など、得られる情報は様々です。
そしてその周辺情報から、相手を想像してみてください。
相手を知っていれば、顔や仕草を思い浮かべてみてください。
知らない場合は、イメージに当てはまる架空の人物像を作ってみてください。
そして、「もし自分がその相手だったら、何を自分から聞きたい?」
と問いかけてみてください。
例えば、「あの人の目的は生産効率を上げることで、今はあの機械を使っているから、より効率的に機械を使う方法が分かると嬉しいはず…」などのアイデアが出てくるかもしれません。
それだけで、自分ひとりだけ考えていては気づかない、より具体的な「相手が知りたいと思っていること」を見つけることができると思います。
3. 情報をもとにプレゼンのメインメッセージを組み立てる
しっかりと相手が求めているものを捉えてさえいれば、その時点でプレゼンの半分以上は成功しています。
相手が欲しいものを的確に捉えて、プレゼンのコンテンツではシンプルにそこだけに言及するというのが、理想的です。
時間も短いに越したことはありません。
予想が完全に当たっていなくても、もちろん大丈夫。
ある程度近ければ、プレゼン中や質疑応答中にそこから知りたいことを引き出して追加説明もできますし、かすっていれば質問してもらえる確率も飛躍的に高まります。
- 「プレゼンが上手い」と思われている人は、多くの場合、しっかりと的を得た内容を伝えています。
- ズレた内容を話す人は、「プレゼンが下手」という評価になってしまいます。
- 資料の質や話し方以上に、メインメッセージが相手の芯を捉えているかの方が大切なのです。
相手の中にある、自分の評判を知る
最後にもう一つ、悲しいすれ違いが起きるケースを紹介します。
それは、プレゼンの相手が自分に対して持っているイメージが、自分が思っていたものと大きく異なっていたというときです。
例えば、会社で新しいビジネスのプランを作成し、その投資のための承認を取得したいとします。
基本的には、同じプレゼンの内容であれば、同じ判断になるはずです。
しかし、現実はそうではありません。
「発表者の評判」はプレゼン中の印象や理解度に影響を及ぼします。
もしその発表者が、豊富な経験がある信頼の厚い社員であれば、多少の情報を省き、要点だけをまとめたものの方が簡潔で好まれるでしょう。
(もちろんその場合でも情報の裏付けは必要ですが、それができる人だからこそ信頼があるわけです)
一方、もし発表者が過去に何度も同じ失敗を繰り返した社員で、それを聞き手が知っていたとしたら…
聞き手は、「プレゼンの裏にある細かい点まで、本当に精査されているのか?」と不安になり、懐疑的になったり、少しでも不備があれば内容を再検討するよう指示するかもしれません。
発表者である自分自身が、「私は相手に○○と思われている」と正しく認識できていれば、問題はありません。
仮に過去失敗を繰り返していたとしても、それを知った上で、相手に心配を与えないように細かい点まで明確に示せばよいのです。
問題は、そこまで良い印象でないにも関わらず「私は信頼されている」と勘違いしている場合です。
プレゼンを組み立てる前に相手を想像し、(相手が自分を知っている場合は)自分がどう思われているかをもう一度振り返りながら、謙虚な気持ちで臨むのが成功するコツだと思います。
この記事を書きながら、自分のこれまでの似たような失敗を思い浮かべ、少し落ち込みました。
ですが、今回お伝えした内容を意図的に実践するようになってからは、同じような失敗はかなり減りました。
未知の相手に対して当てずっぽうで挑むのは無謀極まりないですが、相手が分かれば対策の立てようがあります。
こうして事前に認識のズレを把握することで、しっかりと相手専用の対策ができ、安心感を自分で作れるようになりました。
当日の不安や緊張やストレスも減った気がします。
私の経験が少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。
一度ぜひ実践してみてください。
その他の事前準備や心を整える方法についてもこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧下さい。